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株式会社タカハシ電工
(山形県山形市)

伊藤さん、髙橋さん
株式会社タカハシ電工は、1969年に創業、1974年に設立された建設業である。山形市に本社を置き、米沢市にも営業所を構えている。
従業員数は38名(2026年4月現在)。その内、米沢営業所は5名。若手からベテランまでが働いている。
今回は、代表取締役社長の髙橋勝彦さんと、総務部長の伊藤正隆さんにお話を伺った。
働き方改革をきっかけに、「会社らしい会社」を目指した健康経営と環境整備を進めている。
まずは、健康経営に取り組み始めたきっかけなどについてお話を伺った。
働き方改革の流れを受け、健康経営への取組みを始めました 「健康経営に取り組みはじめた背景には、働き方改革の流れがありました。先代社長の頃から、『従業員が健康で働きやすい会社にしたい』という思いがあり、徐々に体制を整えていこうとしていました。2018年に私(髙橋さん)が社長になった頃は、ちょうど働き方改革関連法の施行に向けて、話題になっていた時期でもありました。」
「健康経営については、最初、何をどうすればよいのか分からないところからのスタートでした。そこで、保険会社から具体的なアドバイスを受けながら、申請に必要な取組みの基準を一つずつ確認し、整えていきました。もともと協会けんぽ山形支部の“やまがた健康企業宣言”に登録して地道に取り組んではいたのですが、健康経営優良法人の申請に向けて、これまでの制度や取組みを改めて客観的に整理し直しました。その結果、2022年に“健康経営優良法人(中小規模法人)”の認定を受けることができました。認定はゴールではなく、現在も働きやすい職場づくりの一環として継続して取組みを行っています。」
社屋整備などハード面の働きやすさも進めてきました
「また、これらと並行して2017年の本社移転にあわせて新社屋を建設し、働きやすい職場環境づくりをハード面からも進めました。当社では月に1回、全従業員が集まる全体会議を行っているのですが、以前は米沢営業所に勤務する5名の従業員に、毎月本社まで車で来てもらっていました。しかし、山形と米沢の移動は雪の多い冬場には多大な時間と労力がかかり、大きな負担になります。そこで、2019年に本社と米沢営業所をオンラインでつないで、いつでもリモート会議ができるIT環境を整えました。その後、コロナ禍を経験したことで、従業員にとってもリモート会議への抵抗感は無くなってきたと思います。移動に伴う負担を減らしながらも、全社で密に情報共有できる機会を増やす仕組みが、今の当社の基盤になっています。」
年2回の社長との個人面談で、現場の人間関係から健康診断の事後フォローまで寄り添っている。
次に、従業員との個人面談や健康管理についてお話を伺った。
年2回、社長と従業員との個人面談で、一人ひとりの声を聴いています 「当社では、毎年6月と11月に、私(髙橋さん)と従業員との個人面談を必ず実施しています。この面談では、まず本人から『今、どのような業務を担当しているのか』、『この半年間でどこを特に頑張ったのか』、『これから直していきたい課題は何か』を聞くようにしています。事前に直属の上司から聞いておいた本人の様子を伝えながら、自分の目標を確認する大切な場にもしています。そして、面談の最後には必ず『今、現場で困っていることはないか』、『会社に対して要望はないか』など、現場の上司には直接相談しづらい悩みを聴くようにしています。問いかけると、ぽつぽつと胸の内を話し始める従業員もいるので、まずはじっくり聴いた上で、必要に応じて具体的な対策を打つようにしています。」
ペア作業だからこそ、人間関係の調整も大切にしています
「私たち建設業の仕事は、現場で1人きりでの作業は少なく、安全面への配慮もあり、基本的には必ず2人一組のペアになって作業を進めています。ベテランの技術継承のためにも、上司や中堅従業員と若手従業員が組むようにしているのですが、どうしても性格の相性が合わない場合が出てきます。面談の中でそのような人間関係の相談があった時には、できるだけ本人の要望も踏まえながら、ストレスが深刻化する前に、早めにペアの組み合わせを調整する対応をとっています。また、人間関係の悩み以外にも『こういう新しい工具があると仕事が早く進む』、『こういう業務の進め方に変えた方がスムーズにいく』といった前向きな提案も出てきます。年2回の個人面談は、経営層が現場のリアルな声を聴く重要な機会になっています。さらに、健康診断後に再検査等が必要な従業員には、必要な受診につながるよう継続的に声をかけています。」
社内イベントを通じたコミュニケーション促進と、若手従業員の定着に力を入れている。
最後に、健康づくりや職場のコミュニケーションに関する取組みについてお話を伺った。
道路清掃活動に合わせて健康セミナーを実施しています
「健康づくりに関する活動としては、山形県の“ふれあいの道路愛護事業”に参加し、年に3回、従業員全員で協力して会社周辺の道路清掃を行っています。“マイロードサポーター”として、毎日使う道路をきれいにするため、県に申請登録してボランティア清掃をしています。そして、毎年7月の道路清掃の直後には、従業員全員が参加する健康セミナーを実施するのが恒例行事になっています。」
「例えば、去年と今年は、協会けんぽ山形支部が提供している無料事業を活用して、管理栄養士による健康セミナーを実施しました。去年は日々の食事や栄養に関する内容が中心だったのですが、今年は事前のアンケートで関心の高かった“睡眠”や“喫煙”、そして“栄養”についての講演でした。特に喫煙については、たばこに含まれる有害物質について“クロスワードクイズ形式”で学ぶなど、参加者自身が考えながら理解を深められる工夫が凝らされており、かなり印象に残る有意義な内容になりました。配布された資料がとてもよくできていたので、『家族にも見てもらいたい』と自宅に持ち帰った従業員もいたほどです。」
従業員の健康習慣に関するアンケート結果も活用しています 「生命保険会社が提供している健康習慣に関するアンケート調査も、継続して実施しており、最近ではほぼ全員の従業員が回答してくれています。個人の運動習慣や睡眠の質、相談相手の有無なども会社全体の傾向として確認できます。メンタルヘルス面において現状で大きな課題は感じていませんが、会社全体の状況を知る上でとても参考になっています。」
「建設業の現場では体を動かしているため、従業員自身が『仕事で十分に運動している』と錯覚しやすい面があります。しかし、仕事での偏った作業動作と日常的な運動習慣とは全く異なるため、その違いを伝え、日常的な運動習慣を持つことの大切さを啓発しています。その一環として、当社では毎朝全員で『ラジオ体操』を行っています。本気でラジオ体操をやると、実はかなりの運動量になることを皆で実感しており、ここから個人の自発的な運動習慣につながればと期待しています。」
社員旅行や懇親会を通じて、職場のつながりを深めています
「希望する従業員が交流できる機会を通じて、コミュニケーションの活性化にも様々な取組みを行っています。当社では2年に1回程度のペースで社員旅行を実施しており、最近は函館と札幌への北海道旅行を行いました。この旅行費用はすべて会社が全額負担しています。夜の食事で集まり、観光も貸切バスで一緒に回るなど、普段とは違う雰囲気の中で従業員同士が深く交流できる貴重な機会になっています。また、新年会や親睦会なども定期的に開催し、従業員同士で顔を合わせてざっくばらんに話す機会を大事にしています。7月の健康セミナーの際も、夜に親睦会を行うことで昼間の“学び”と夜の“交流”がうまく組み合わさり、非常に良い相乗効果が出ていると感じています。」
若手が相談しやすい環境をつくっています 「こうした働きやすい環境づくりの成果は、採用面にも表れています。当社では高卒新入社員の採用に積極的に取り組んでいますが、最近は大学進学率の上昇もあり、地方の建設業での高卒採用は非常に難しくなっています。そのような厳しい環境の中でも、健康経営優良法人に取組みはじめた2021年からは、3年連続で新入社員を2名ずつ採用することができました。その後2年間は採用できなかった時期もありましたが、今年2026年には、また新たに新入社員2名を迎えることができたのです。ハローワークの募集要項や当社のホームページに、“健康経営優良法人(中小規模法人)”の認定証を掲載できていることも大きな効果があったと思います。採用においてこだわっているのは、必ず『新入社員を2人同時に採用する』ということです。同期がいることで相談しやすくなり、メンタルヘルス面でもプラスになるのではないかと考えているからです。」
「今では若い先輩従業員が多く在籍しているため、新しく入った従業員も年齢が近い先輩に頼りやすく、すぐに当社に溶け込めるようになっていると感じています。20代、30代の若手従業員も着実に増え、会社全体の4割近くを占めるまでになりました。新入社員が不安を抱え込まず、すぐに相談しやすい環境が社内に根付いてきていると考えています。最近は新卒で入社した社員の早期離職はほとんどなく、この5年間で離職者はゼロという結果につながっています。」
会社としてできることを続け、働きやすい職場を目指します 「建設業では、現場ごとの負担や特有の人間関係、そして健康管理など、さまざまな課題があります。だからこそ当社では、従業員一人ひとりのリアルな声に真摯に耳を傾け、できるところからコツコツと改善を続けています。健康経営やメンタルヘルス対策も特別な取組みとして切り離して考えるのではなく、『働きやすい職場づくり』という大きな目標の一環として自然な形で進めています。縁あって入社してくれた従業員が、心身ともに健康で長く働ける環境を整えることこそが大切だと考えています。今後も、日常の中でできる取組みを積み重ね、若手からベテランまで、誰もが安心して働き続けられる職場づくりを進めていきます。」
【取材協力】株式会社タカハシ電工
(2026年9月掲載)
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